場面緘黙症の子供への対応 実際の症例から原因を探る

学校の教室 場面緘黙症

場面緘黙症(選択性緘黙症)のことをネットで調べてみると、原因は特定のものではなく、必ずしも親が原因とは限らないと書かれています。

言語障害を持つ場合も含まれていますが、その場合は家族は認めてくれているが、学校では馬鹿にされる、ということが原因として考えられます。

他にも単純な場面緘黙が起こる例として、例えば、地方で育った子供が都会に転校し、訛り(なまり)を馬鹿にされたことにより話せなくなるということがあります。

この場合、もう一度地方の学校に戻れば問題は解決されるでしょう。

またそれができなくても、標準語のアクセントを身につけることにより解決するかもしれませんし、訛りが受け入れられ、安心を感じることにより話せるようになるかもしれません。

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親の代わりに面倒を見ていた人がいる場合

両親は特に不安障害のようなものが無くても、誰か他の人に育児を任せ、そこで恐怖を感じ続けた場合、緘黙症になってしまうという可能性は十分あります。

ベビーシッターからの虐待に気づかなかったとか、保育園の先生が冷たい態度で接していたとか、幼少期に長い時間接していた人との関係で心に傷を受けてしまうと、場面緘黙症を含む不安障害になってしまう恐れはあるでしょう。

兄弟が原因の可能性

例えば両親と一緒に暮らしていて、も兄や姉がいる場合、兄弟関係が原因ということも考えられます。

兄や姉が、親が弟妹を可愛がることに嫉妬し、いじめを行っていた場合、そこに恐怖や嫌悪を感じた結果、場面緘黙症になるということはあり得ます。

他の子供も兄や姉のように自分をいじめるのではないか、という恐怖心を持てば、学校で話せなくなる可能性はあります。

その場合も単なる恐怖以外に複雑な価値観のコピーが行われているでしょう。

記憶のどこかに刻まれた恐怖と恥

場面緘黙症の自我が形成される過程には、人と話すことへの恐怖や恥ずかしさ、恐怖心を誘発するような記憶がどこかに刻まれているはずです。

もしそのような記憶が一切無いならば(思い出せないのではなく、経験していないのであれば)、心理的なことが原因ではなく、先天的なことが原因ということになりますが、その場合は場面緘黙ではなく全緘黙になるのではないでしょうか。

また恐怖心は1回だけのものではなく、ある程度の時間をかけて感じたものだと思います。

1度だけの強い恐怖を感じた場合、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状がまず強く表れてくるはずです。

実際の症例を考える

実際に、場面緘黙症だった人の例を見てみます。
数年前のものですが、大人の場面緘黙症の42歳(投稿時)の女性の例がありました。

ご自分ではそれを認識しているかどうか分かりませんが、この方の場合は両親に原因があると思います。

母に「なんで家でこんなにしゃべるのに学校でしゃべれないの?」
って責められ続けました、自分でも聞きたかったです、原因が全くわからないのです。
父には「おまえの将来はホームレスか自殺だな」って毎日のように言われ続けました。

このように親から否定されれば、心に傷を負うのは当然のことです。
両親共々子供にかなりひどいことを言っています。

喋れないことが自分に原因があると思っていると、こんなひどいことを言う親に対しても、自分が悪いのだから仕方ないと考えてしまいます。

断定はできませんが、ほぼ両親の影響により場面緘黙症になったと考えてよいでしょう。

やはり入社しても「なんでそんなに無口なの?」
って同世代の男性の先輩に毎日のようにキレぎみに質問されました。
無口な人にそんな質問しても答えようがないんですが、
学生時代からそう思ってましたがそんな質問する人に限って自分もそんなに話さないんです。
少しこちらもイラッっとしました。

これはいじめの典型例ですが、この先輩自身も自分があまり喋らない人であることに気付いていません。

いじめの原因 なぜ起こるのか 投影と無意識を理解することの難しさ
もし人が「無意識」についてもっと深く理解できれば、いじめを減らすことに大きく役立つと思います。 いじめというのは、いじめる側がいじめられっ子に対して、何かムカツク、とか、イライラする、という理由からいじめを行うことが多いと思います。 ...

無意識で自分の欠点をこの女性に投影し、嫌味を言っています。
この方はこの時点(投稿時)で場面緘黙の悪循環から抜け出せていないようです。

回答者の方とのやりとりを見ると、過去にカウンセラーに相談していますが、場面緘黙症のことを分かっていないカウンセラーに当たってしまっています。

まず両親の性格をよく考えて原因をつきとめ、自分が悪いという思い込みから自分を解放して欲しいと思います。

やはりよいカウンセラーやセラピストに相談できればと思いますが、お金がかかる上に良い人に当たる保証がない所が難しい所です。

場面緘黙症の子を持つ親御さんに言いたいこと

ブログや掲示板などを見ていますと、場面緘黙児の母親自身が過去に場面緘黙症だったというケースや、両親が何らかの不安障害を抱えている場合がとても多いように感じます。

この場合は、子供と共に自分自身のケアも同時に行うことが必要でしょう。

自分が誰とでも気軽に話せるようになれば、(または少しでも対人緊張を和らげることができれば)子供にそれが伝わり改善していく可能性がとても高くなると思います。

またそれができないならば、「お母さん(お父さん)もあなたと同じように人と上手く話せないの」という自分の正直な気持ちを子供に伝えてあげて下さい。

子供は親の本当の気持ちを知ることにより、たとえコミュニケーションに障害を抱えたとしても、親を思いやるようになるでしょう。

子供の事を不安に思う気持ちがあると、不安な気持ちそのものが子供に伝わり悪循環を招きます。

子供を心配する気持ちは分かりますが、自分自身の人生が楽しくなり、お母さんお父さん楽しそうだな、と子供が思ってくれるようになると、かなり違ってくるでしょう。

学校には行く必要がない

私が緘黙児に戻ったとして親に言って欲しいことは、「心配せずにそのままでいい、学校は行きたくなかったら行かなくていい」ということです。

心配しなくていい、ということは、人生どうにでもなる、ということを親子共々分かってほしいということです。

人生にレールはありません。
その子供に合った生き方というものがあると思います。

緘黙児は必要の無い不安や恐怖を抱えています。
両親が、学校には絶対に行かなくてはならない、という思い込みを心に持っているなら早く手放さなくてはなりません。

上のように言って、本当に学校に行かなくなったとしても、別に無理に行かす必要はないと思います。

喋れないまま学校にいるくらいなら、家でお母さんと一緒に楽しく勉強したほうが将来のためになる、というのが私の考えです。

そこから少しずつ、小さな社会を広げていくということが理想です。

場面緘黙児にとって学校に行きながら症状が良くなるということは、かなり難しいことだと思います。

経済的な事情などでそこまで子供に構っていられないということはあるでしょうが、基本姿勢としては、どうやったって生きていける、という安心感を与えることです。

その為には、両親が自分の人生を楽しめているかどうか、生きるということに対してどう向き合っているのかが問われます。

学校で緘黙している状態というのは、不安や恐怖に対して身を固くして自分を守っている状態なので、神経はすり減りストレスは溜まる一方です。

なぜそんな所に大切な子供を閉じ込めているのかと思ってしまいます。
極端な話、世間の目と自分の子供のどちらが大切ですか?と問いかけたくなります。

場面緘黙児のような子供が家族にいるということは、家族一人一人が何か自分の問題を改善する必要がある、ということの警告のようにも思えます。

子供の症状を治そうとするばかりではなく、親御さん自身の自己改革はとても重要なことだと思います。

学校で症状を改善するには

まず先生にこの症状について理解してもらう必要があるでしょう。
「場面緘黙Q&A」(下記)のような本を先生に読んでもらうといいと思います。

この本には様々な緘黙児のタイプが載っているので、
自分の子供のタイプを先生に教えて理解してもらうとよいでしょう。

先生からの配慮があると、様々な局面で不安を軽減することができると思います。

あとは子供を肯定し、性格や態度を咎めない(とがめない)ことです。
かと言って甘やかすのではなく、道徳的に間違ったことに対しては、毅然として叱る必要もあります。

時間をかけて少しずつ、子供の心から不安や恐怖を拭い去ることがとても大切だと思います。

「場面緘黙Q&A」を読んで思うこと

この本は場面緘黙症(選択性緘黙症)の子供を持つ親御さんや、生徒に緘黙症の子がいる学校の先生には、場面緘黙症というものを理解する為にとても良い本だと思います。

まず場面緘黙と一括り(ひとくくり)にできないところが難しいと思いました。
場面緘黙から全緘黙に症状が変わってしまう子供がいたり、緘動といわれる、体を動かせない症状を伴う子もいます。

症状だけを見て、考えたことを言語化するのに時間がかかる、発達障害やアスペルガー障害など、先天的な障害を持つ子供と場面緘黙症を一緒に考えてしまうと、対応が難しくなるという困難もあります。

話さない、という発話の問題だけに焦点を当ててしまいがちですが、当人は対人恐怖症状を感じていることに対する理解も必要です。

とても共感したのは、小学3年生の女の子、海ちゃんが新しいクラスメイトの子に、「どうしてしゃべれないの?はやくよくなってね」という内容の手紙をもらい、

「なにをするのかわかりません。海は、しゃべるのがはずかしいの」

と返信した手紙は、健気であり、気持ちは痛いほどよく分かります。

海ちゃんは、早く治してと言われても、どうすればいいか分からないし、ただただ恥ずかしいのです。

様々な緘黙児のパターンが紹介されていますが、私の場合は、Q40の項目がぴったり当てはまります。

「家に帰るとそのストレスを吐き出すように、多弁になり、自分を主張し、かんしゃくを起こし、親にぐずぐず言う子どもがいます。」

まさに私のことだと思いました。

場面緘黙症の生徒に対して思うこと

緘黙していた私の経験でも、緘黙中に喋れるチャンスが訪れる時があります。

先生が生徒に理解があり、クラスの雰囲気が喋れる空気を作ったとき、自然に喋ってしまう時があるものです。

しかし話し出すと、周りの生徒は「○○君が話した!」と驚き、それを聞いた私は我に返り、恥ずかしさがこみ上げてくるのです。
そしてまた喋れなくなってしまいます。

小学生にそんなことまで理解させ、気を遣わせるのは、ほとんど無理だと思います。 
一般の生徒と一緒に行動する中で、緘黙症を治療するのは大変困難なことだと思いました。

できれば自意識が弱い小学生くらいのうちに対処して治すのが理想です。
中学生、高校生で緘黙してしまうと、後でコミュニュケーション力をつけるのに、苦労が大きくなってしまいます。

可能かどうかは別として、治療するには、少人数クラスで、先生は場面緘黙症に精通した人が理想です。

緘黙児やコミュ障と言われる子供だけのクラスで、2人ずつのグループに分かれてすべての組み合わせで、会話の練習をし、徐々に3人4人と人数を増やしたり、緘黙児に対応できるような気遣いができる生徒をゲストに招いて、会話の輪に加わってもらうとか、専用のメニューで治療できれば、かなり改善できると思います。

コミュニケーション力に差がついたら、クラスを入れ替えるなどの配慮も必要になるかもしれません。

今、どの程度場面緘黙児に対する取り組みが進んでいるのか、私は全く知りませんが、お金の問題など、すべての生徒にこのような環境を提供するのは無理でしょう。

やはり、沢山の人にこの症状を知ってもらい、先生にはこの本を読んでもらうなど、理解を広げることが重要なのでしょう。
かんもくネット
かんもくの会
場面緘黙症 Journal